【技術解説】Meister植竹のブログ Vol.42/2026年オーバーホールについての考察
オーディオファンの皆さま。
こんにちは。
山水電気(サンスイ・SANSUI)DNAを正統に継承するカスタマーセンターIDK Audio、センター長の植竹です。
(IDK Audioについて、詳しくはこちらをご覧ください)
植竹ブログ第42回目です。
2026年オーバーホールについての考察
サンスイのアンプは最も新しいものでも、製造後すでに四半世紀が経過しております。
オーディオ製品も家電製品ですので、永遠にメンテナンスなしで使用し続けることはできません。
2025年のオーバーホールで多く観察された現象や故障の原因は以下のとおりです。
埃の堆積
特にオーディオアンプの場合は内部で扱う電力も大きいため、内部への埃の堆積があると故障時に活電部からのスパークで火災リスクが上昇し大変危険です。
半田クラック
内部温度上昇も他の家電製品と比較すると大きく、各部の膨張収縮の繰り返しで、ほとんどの個体は半田付け部分に半田クラック(割れ)が観察されます。
このクラックがいずれ電気的な接合を喪失させ、回路が正常に動作しなくなります。
電解コンデンサの固定用接着剤
多くのサンスイアンプは回路内の電解コンデンサを部分的に接着剤で固定しています。
この接着剤が、経年で接している電解コンデンサや周辺のトランジスタ/ダイオード/抵抗をことごとく腐食させています。
これも、いずれは半田クラックと同様に回路が正常に動作しなくなります。
なお、電解コンデンサの容量低下については、αシリーズに限っては特定の部分を除いて部品規格内に収まっており問題が無いことが統計から分かっています。
そのため、多くの場合はこの接着剤の付着による劣化のほうが問題なのです。
スピーカー保護リレー
DCアンプならではのスピーカー保護リレーは接触不良により、最悪の場合は出力ができなくなります。
多くの場合、アンプのダンピングファクター値を大きく阻害しスピーカーの駆動力を低下させる原因となっています。
半固定抵抗
DCバランスやバイアスの値を調整する半固定抵抗も、経年劣化で接触不良になっている個体が増えてきました。
・DCバランスの調整値が変動すると、スピーカースイッチをon/offする際にノイズが発生したり、最悪の場合はプロテクタ(点滅)が解除しない原因となってしまいます。
・バイアスの調整値が変動する、もしくは掛かっていないと、クロスオーバー歪が発生します。
フロントパネルの操作系スイッチ
操作系の各種スイッチやボリュームもほぼ接触不良であることが観察されます。
この場合出力が不安定になったり、ノイズ発生の原因となります。
このように故障に至る原因は様々ですが、私どもIDK Audioでは過去の多くの故障データを保有しています。
『オーバーホール』とは故障個所の修理だけではなく、上記のような過去に故障した部分の未然補修も同時に実施するものです。
古い製品であるがゆえに年々故障箇所が増えてきており、『オーバーホール』の意義はより高いものになっています。
またオーバーホールの内容も日々アップデートしています。
したがって、現在故障している部分だけを修理しても、統計上、別の故障が発生する可能性は否定できず、過去一度もメンテナンスが施されていない個体についてはリスクを最低限にするためにも『オーバーホール』をお勧めしております。
それでは、また次回お会いしましょう。
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