カンタン解説 医療DXとは(最終回:診療報酬改定DX)

医療DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して医療に関わる各種の情報を統合・活用し、医療提供の質の向上や業務効率化を図る取り組みのことです。
政府は医療DXを推進するために、「全国医療情報プラットフォームの創設」「電子カルテ情報の標準化」「診療報酬改定DX」などを掲げ、2030年度までにデジタル化の本格的な導入を目指しています。
この記事では、政府の取り組みと上記の3つの柱について解説してゆきます。
最終回は、「診療報酬改定DX」をご紹介します。
「診療報酬改定DX」とは?
診療報酬改定DXは、『デジタル時代に対応した診療報酬やその改定に関する作業を大幅に効率化し、システムエンジニアの有効活用や費用の低廉化を目指す』ことと定義されています。
このための具体的な施策は
1.共通算定モジュールの開発・運用
2.共通算定マスタ・コードの整備と電子点数表の改善
3.標準様式のアプリ化とデータ連携
4.診療報酬改定施行時期の後ろ倒し等
です。
「共通算定モジュール」の開発目的とは?
共通算定モジュールは、『診療報酬の算定と患者の窓口負担計算を行うための全国統一の共通的な電子計算プログラム』で、各レセコン提供ベンダーが利用できることを目的とし、令和7年度(2025年)に提供が開始される予定です。
従来は、当該プログラムは各レセコン提供ベンダーが自社システムの仕様に合わせて修正し適用していましたが、この作業にかかるシステムエンジニアの工数は膨大です。
共通算定モジュールの利用によって、この工数が削減され、システムエンジニアの人的リソースの有効活用が期待されます。
「診療報酬改定施行時期の後ろ倒し」の目的とは?(実施済)
従来は、2月上旬から5月10日までの3ヶ月あまりに医療機関・薬局・各レセコン提供提供ベンダーに業務負荷が集中し、特に3月は「デスマーチ(死の3月)」と呼ばれていました。
この業務負荷の集中を平準化することが目的です。
令和6年度(2024年)以前 | 新令和6年度(2024年)以降 | |
中医協答申 | 2月上旬 | 同左 |
関係告示等 | 3月上旬 | 同左 |
電子点数表開示 | 3月下旬 | 同左 |
診療報酬改定施行 | 4月1日 | 6月1日(薬価のみ4月1日) |
診療報酬初回請求 | 5月10日 | 7月10日(薬価のみ5月10日) |
詳細は、厚生労働省の資料をご参照下さい。