カンタン解説 医療DXとは（第1回：政府の取り組み）
医療DX（デジタルトランスフォーメーション）とは、デジタル技術を活用して医療に関わる各種の情報を統合・活用し、医療提供の質の向上や業務効率化を図る取り組みのことです。
政府は医療DXを推進するために、「全国医療情報プラットフォームの創設」「電子カルテ情報の標準化」「診療報酬改定DX」などを掲げ、2030年度までにデジタル化の本格的な導入を目指しています。
この記事では、政府の取り組みと上記の3つの柱について解説してゆきます。
第1回目は、「政府の取り組み」をご紹介します。
「経済財政運営と改革の基本方針2022について」（令和4年6月7日閣議決定）の概要
「第4章 中長期の経済財政運営／2. 持続可能な社会保障制度の構築／社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進」にて
『医療・介護費の適正化を進めるとともに、医療・介護分野でのDXを含む技術革新を通じたサービスの効率化・質の向上を図るため、デジタルヘルスの活性化に向けた関連サービスの認証制度や評価指針による質の見える化やイノベーション等を進め、同時にデータヘルス改革に関する工程表にのっとりPHRの推進等改革を着実に実行する。』と明記されています。
具体的には
●全国医療情報プラットフォームの創設
●電子カルテ情報の標準化等（「標準型電子カルテの検討」「電子カルテデータを、治療の最適化やAI等の新しい医療技術の開発、創薬のために有効活用すること」を含む）
●診療報酬改定DX（「デジタル時代に対応した診療報酬やその改定に関する作業を大幅に効率化し、システムエンジニアの有効活用や費用の低廉化を目指す」こと）
を行政と関係業界が一丸となって進めるとともに、医療情報の利活用について法制上の措置等を講ずる
こととなりました。
これを受けて、政府内に「医療DX推進本部」が設置され、具体的な検討が行われています。
詳細は、経済財政運営と改革の基本方針2022についてをご参照ください。
「第2回医療DX推進本部（令和5年6月2日）の概要
2030年に向けての具体的な施策として
●マイナンバーカードと健康保険証の一体化の加速等
●全国医療情報プラットフォームの構築
1.電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスの構築
2.自治体、介護事業所等とも、必要な情報を安全に共有できる仕組みの構築
3.医療情報等の二次利用
●電子カルテ情報の標準化等
1.電子カルテ情報の標準化等（3文書「診療情報提供書」「退院時サマリー」「健康診断結果報告書」、6情報「傷病名」「アレルギー情報」「感染症情報」「薬剤禁忌情報」「検査情報」「処方情報」）
2.標準型電子カルテ
●診療報酬改定DX
1.共通算定モジュールの開発（診療報酬の算定と患者の窓口負担計算を行うための全国統一の共通的な電子計算プログラム）
2.診療報酬改定時期の後ろ倒し
の推進が決定されています。
詳細は、医療DXの推進に関する工程表（案）をご参照ください。
具体的な各施策につきましては、第2回目以降で解説いたします。